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【ゲーム】デトロイトビカムヒューマン【Detroit: Become Human】

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 7月のPSplusのフリープレイで配信されていたデトロイト ビカム ヒューマン』(Detroit: Become Human)を始める。気にはなってはいたもののなかなかやる時間がなかったが、まさかフリプで来るとは思わなかった。

 ちなみに6月までやっていたホライゾンゼロドーンはちょうど忙しい時期に重なってしまい積んでしまった。呪われているのか。

アンドロイド交渉人コナー

 物語の舞台は2038年アメリカ、デトロイトミシガン州)。

 8月15日、アンドロイドの交渉人コナーが依頼を受けて、人質救出のためにとあるアパートを訪れるところから始まる。

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主人公の一人コナー

 コナーは非常に中性的で、昨今取りざたされるゲームキャラクターの(セクシュアルな)ビジュアルコードをクリアしてる外観。特徴が無い分どこか不気味でもある。

 開始早々周囲が騒がしい。そしてアンドロイドに対する風当たりの強さも感じる。SF小説や映画でよくある描き方。

 事件のあらましを隊長に話しかけるもどうにもそっけないので、仕方なく自分で周囲を調査していく。

 ゲーム開始時難易度はEXPERIENCEDを選んだのだが、操作性としては今のところ没入感よりも面倒が上回る。カメラ操作とアクション操作が同じRスティックというのに少々違和感があって、時々変な動きをしてしまう。

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捜査画面。残された痕跡を解析して状況を再現する。なかなか凝ってる。

 鍵開けみたいなスティック操作で調査をし、どうやら犯人はアンドロイド(名前はダニエル)、一家の父親を殺害し娘を人質にしていることが分かる。時々銃声が聞こえ、SWATの隊員が何人か負傷・殺害されている。

 一通り周囲を回ってから交渉に入る。最初50%台まで落ちた成功率が70%近くまで上がった。

 建物のバルコニーの端に立つアンドロイドのダニエルを相手に交渉。どうやらそれまでの調査で得た情報量により選択肢が増える様子。ダニエルは自分が買い替えられることに絶望して犯行に及んだのだ。

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一家の娘を人質に取ったダニエル。

 自分はこういう「より良い選択肢を選んでいく」タイプのゲームは非常に苦手なんだけど(大抵トンチンカンな結果に陥る)、今回は最初とあって成功率100%まで達することができた──のだが。

 娘を救い、ダニエルを思いとどまらせることに成功するも、直後SWATの発砲によりダニエルは破壊される

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仕事を終えたコナー。後ろには撃たれたダニエルが膝をついている。

 この時のコナーの表情が凄い。何だか底知れないものを感じる。ゲームの表現力もここまで来たかという感じ。これを見た瞬間に良いゲームであることを確信した

 チャプター終了と同時トロフィー『ミッション成功』『Thank You』取得。続いて親切なエロゲ―みたいなフローチャート画面に入るのだが、これがまた細かく、分岐がたくさんありそう。

アンドロイド社会

  場面は替わり、コナー以外の二人の主人公カーラマーカスの二人が紹介される。カーラは持ち主に修理に出されて初期化され、マーカスは買い物を頼まれていた。

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2038年のデトロイト

 マーカスのチャプター『色あふれる世界』は短いけれどゲームの世界観の一端が伝わってくる。この時代アンドロイドは当たり前の存在となっていて、配管工事も店の売り子も彼らがやる。マーカスの買い物もアンドロイド同士で行われる。街中にはシェア・アンドロイドとでも言うべき短期間のアンドロイド貸し出しが行われている。

 一方で人間の格差・貧困は解決しておらず、ホームレスもいるし職にあぶれた人々が反アンドロイドの抗議活動を行っているのだ。

 現実でも例えばAIの導入に反対する人たちが運動を行っているし、古くはラッダイト運動なんてものもあった。ゲームの風景も実際にアンドロイドが導入されたらあり得るかもしれない。まあこのレベルの人型アンドロイドがあと20年で出来るとは思えないけど──未来のことは分からない。

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主人公の一人マーカス。背後にはアンドロイドへの抗議活動をする人々。

 買い物を終えバスに乗るとチャプター終了。ラスト、バスの後ろのアンドロイドのスペースに、奴隷のように詰められた無表情なアンドロイドたちの姿にぞっとする。

 普通の人々

 場面は替わってカーラのチャプター『新たな我が家』。修理を終えたカーラは粗暴な男トッドの家に戻る。

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薄汚れたトッドの家。周囲では再開発が進んでいる。

 ここではアンドロイド社会に生きる人々の生活風景が描かれる。都市の再開発が進められ最新式のバスが街路を走るも、貧しい人々は粗末な家に暮らし続け、周囲も荒れた雰囲気。トッドの家の向こうには建設中のビルが壁のようにそびえ立つ。

 トッドに家のこと全般を言いつけられて、カーラはせっせと掃除に励む。散らかった家の中を見るとその生活レベルが分かる。クレジットカードの審査にも落ちるほど。

 それでもアンドロイドは持てるのか、と思うけども、アンドロイドが一般化している社会でなら案外安価に買えるものなのかもしれない。大型TVだっていわゆる貧困層の人が買えないほど高価な物ではすでに無くなっているわけだし。

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主人公の一人カーラと、トッドの娘アリス。

 トッドにはアリスという娘がいる。無口な子で、どうやらカーラとは仲が良かったらしい。

 カーラは主人公三人の中でも比較的表情は豊かで、笑顔を見せることが多い。少女に「もう一度友達にならない?」と問いかける。初期化されたことは覚えているのか。なんだか選択肢が上手く働いてイベントが解除、少女が鍵をくれた。

 鍵を使って少女の部屋の箱を開けると──初期化される前カーラに何があったのかを示す手がかりがそこにはあった。

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箱の中に入っていた絵。アリスと壊れたカーラ。

 階下では荒れた様子のトッドがアリスに八つ当たりをしていた。ドラマでよくある貧困(加えて父子)家庭の姿が映し出されてチャプターは閉じる。職もないトッドの理由は示されないが、仮にそれがアンドロイドによるものであるなら、それを見つめているカーラは何を思うのだろう。

 終了と共にトロフィー『秘密』取得。

 

 周囲の状況をよく確認して話を進めていくゲームだから、自然とプレイしながらいろいろ考えてしまう。

 グラフィックや演出は今のところ素晴らしい。 ある時からゲームは映画に近づいていったけれど、これはまさに映画をプレイするという感じになっている。ある意味映画を観る以上に映画を楽しめるというか。

 操作感は上に述べたようにやや面倒が勝る(窓を開けるのにコントローラーを上に振るとか必要か?)。かといってボタンちょん押しだけというのも味気ないし、この辺りはコントローラーやゲームプレイ環境自体の進化に期待するしかなさそう。

 ともあれ評判通りの引きこまれるゲームで続きが楽しみ。